建設業許可の「財産的基礎」とは?500万円要件や残高証明書について解説

はじめに

建設業許可を取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

その一つが「財産的基礎」です。

建設業許可について調べていると、「500万円必要」という話を耳にすることがあります。もっとも、「資本金なのか預金なのか、いつ時点なのか」など、よく分からないという方も少なくありません。

今回は、建設業許可における財産的基礎とは何か、一般建設業と特定建設業の違い、自己資本500万円や残高証明書の考え方について解説します。

財産的基礎とは

財産的基礎とは、建設業を継続して営むために必要な資金力があるかを確認するための要件です。

一般建設業と特定建設業で要件は異なる

財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で大きく異なります。

一般建設業

一般建設業では、次のいずれかに該当すれば要件を満たします。

  • 自己資本が500万円以上ある
  • 500万円以上の資金調達能力がある
  • 建設業許可を受けて5年以上継続して営業した実績がある

新規申請では、「自己資本500万円以上」または「500万円以上の資金調達能力」によって証明するケースが一般的です。

なお、3つ目の要件は、主に許可更新時に関係する要件です。

特定建設業

一方、特定建設業では次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 欠損の額に関する要件を満たしていること
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金が2,000万円以上であること
  • 自己資本が4,000万円以上であること

特定建設業は、大規模な下請発注を伴う工事を対象としているため、一般建設業よりも厳しい財務基準が設けられています。

また、一般建設業のように残高証明書で代替することはできず、会社の財務内容そのものが審査されます。

もっとも、建設業許可の新規取得に関する相談の多くは一般建設業であるため、以下では一般建設業を中心に解説します。

一般建設業の500万円要件とは

一般建設業でよく利用されるのが、「自己資本500万円以上」という要件です。

法人の場合、自己資本は貸借対照表の「純資産の部」の金額によって判断されます。

例えば、

  • 資本金300万円
  • 利益剰余金300万円

であれば、自己資本は600万円となり要件を満たします。

一方で、

  • 資本金500万円
  • 累積赤字200万円

の場合は、自己資本が300万円となり、要件を満たさないことがあります。

建設業許可の相談でよくあるのが、

「資本金を500万円にしたから大丈夫ですよね?」

というケースです。

しかし、資本金と自己資本は同じではありません。

資本金は会社設立時などに出資された金額です。

一方、自己資本はその後の利益や損失によって増減します。

そのため、建設業許可では資本金ではなく、現在の財務状況を確認することが重要です。

500万円はいつの時点で判断される?

自己資本の場合

自己資本500万円以上の要件は、原則として申請時点の直前に確定した決算書に基づいて判断されます。

例えば、

  • 3月決算
  • 7月申請

であれば、3月決算の貸借対照表に記載された純資産額が基準となります。

資金調達能力の場合

「500万円以上の資金調達能力」は、金融機関が発行する残高証明書などによって証明します。

残高証明書による場合は、証明書に記載された日時点の預金残高によって判断されます。

そのため、

  • 直前決算では自己資本が500万円未満
  • 残高証明書では500万円以上

という場合でも、資金調達能力の要件で申請できるケースがあります。

特定建設業の場合

特定建設業の財務要件も、基本的には直前の確定した決算書によって判断されます。

許可更新の場合はどうなる?

前述した一般建設業の要件の一つに、「建設業許可を受けて5年以上継続して営業した実績があること」があります。

一般建設業では、この要件を満たせば財産的基礎の要件を満たすことになります。

そのため、更新時には必ずしも自己資本500万円以上や残高証明書による証明が必要となるわけではありません。

これは新規申請時と更新時の大きな違いの一つです。

一方、特定建設業では更新時にも財務要件が確認されるため、許可取得後も財務内容の維持が重要になります。

新設法人でも建設業許可は取得できる

「直前の決算書が基準になるなら、設立したばかりで決算を迎えていない会社はどうなるのだろう?」

と思われるかもしれません。

会社設立直後であっても、建設業許可の取得は可能です。

決算書がまだない新設法人でも、500万円以上の資金調達能力を証明できれば、財産的基礎の要件を満たせる場合があります。

建設業許可の相談でも、

「資本金100万円で会社を設立したが許可は取れるのか」

という質問をいただくことがあります。

このような場合でも、他の許可要件を満たし、500万円以上の資金調達能力を証明できれば許可取得が可能なケースがあります。

まとめ

建設業許可における財産的基礎は、建設業を継続して営むための資金力があるかを確認するための要件です。

一般建設業では、

  • 自己資本500万円以上
  • 500万円以上の資金調達能力
  • 建設業許可を受けて5年以上継続して営業した実績

のいずれかを満たせば要件をクリアできます。

一方、特定建設業では、

  • 資本金2,000万円以上
  • 自己資本4,000万円以上
  • 流動比率75%以上
  • 欠損額に関する要件

をすべて満たさなければなりません。

「資本金500万円がなければ建設業許可を取得できない」と思われることがありますが、実際には自己資本や資金調達能力によって要件を満たせる場合があります。

まずは現在の財務状況を確認し、自社がどの方法で要件を満たせるのか検討してみることが大切です。

次回は、

「欠格要件」

について解説します。

経営業務の管理責任者や営業所技術者等の要件を満たしていても、欠格要件に該当すると建設業許可を受けることができません。

例えば、

  • 過去に一定の法令違反がある場合
  • 破産手続開始の決定を受けて復権していない場合
  • 法人の役員等が欠格要件に該当する場合

などは許可を受けられない可能性があります。

次回は、欠格要件の具体的な内容や見落としやすいポイントについて分かりやすく解説します。

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